累計約300万人動員という驚異的な記録を達成したドキュメンタリー映画「牛の鈴音」。
「牛の鈴症候群」と呼ばれる社会現象まで巻き起こしました。
韓国では2009年1月、日本では2010年4月に公開されました。
日本語の題字「牛の鈴音」は菅原文太さんが書かれたものです。
人気の俳優が出演しているわけでもなく、大きな事件が起こるわけでもない。
ナレーションもなく、老夫婦と牛だけが映っている映画。
誰もが耕作機械を使うのに、頑固なお爺さんは足が悪いにも関わらず牛と働きつづける。
牛の寿命は15年ほどなのに、この牛は40年も生きつづけた。
お婆さんは老いぼれ牛を売れと言うが、お爺さんは死ぬまで面倒を見るという。
ついに老いぼれ牛が動けなくなる。
獣医さんがお爺さんに「心の準備をしてください。」と声をかける。
お爺さんは30年間牛がつけていた鼻輪を外し、鈴を外す。
ちりん、ちりんと鳴っていた鈴の音が止んだ。
そこには何一つ創られたものがない。
忘れてしまった大切な何かを思い出させてくれる素敵な物語です。